「現役の月収が高めだけど、失業保険はいくらまで受け取れるの?」
「上限額が適用されるのは、どんな人?」

失業保険(雇用保険の基本手当)には 年齢別の上限額 が設定されています。賃金日額が高い人は、現役時代の月収にかかわらず 基本手当日額の上限額 が支給上限となります。

2025年8月1日改定の最新数値で、上限額の仕組みと月収換算の目安を整理します。

1. 結論 ― 年齢別に基本手当日額の上限が決まっている

最初に結論をお伝えします。

離職時の年齢 賃金日額の上限額 基本手当日額の上限額
29歳以下 14,510円 7,255円
30〜44歳 16,110円 8,055円
45〜59歳 17,740円 8,870円
60〜64歳 16,940円 7,623円
下限額(全年齢共通) 2,411円

出典: 厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更(令和7年8月1日〜)

→ 月収が高くても、上限額を超える分は 支給対象にならない 仕組みです。


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2. 上限額が適用される仕組み

2.1 計算の3ステップ

失業保険の1日あたり支給額(基本手当日額)は、次の3ステップで計算されます。

Step A. 賃金日額 = 離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180
Step B. 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)
Step C. 基本手当日額 を 年齢別の上限額・下限額 で挟む

2.2 上限が効くポイント

上限額は 2段階 で効きます。

段階 内容
Step A の上限(賃金日額の上限額) 賃金日額が上限を超えると、その上限額で打ち止め
Step C の上限(基本手当日額の上限額) 結果として、基本手当日額が年齢別の上限額を超えることはない

両者は 連動 していて、上限の賃金日額に最低給付率(50%、60〜64歳は45%)を掛けた金額が、そのまま基本手当日額の上限額になります。

年齢 賃金日額上限 給付率(上限時) 基本手当日額上限
29歳以下 14,510円 × 50% 7,255円
30〜44歳 16,110円 × 50% 8,055円
45〜59歳 17,740円 × 50% 8,870円
60〜64歳 16,940円 × 45% 7,623円

3. 上限が適用される月収の目安

賃金日額は 離職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180 で計算されます。月給換算では、賃金日額 × 30日 が目安です。

離職時の年齢 賃金日額上限 上限が適用される月給目安(賞与等を除く)
29歳以下 14,510円 おおむね 月給43.5万円以上
30〜44歳 16,110円 おおむね 月給48.3万円以上
45〜59歳 17,740円 おおむね 月給53.2万円以上
60〜64歳 16,940円 おおむね 月給50.8万円以上

残業代・通勤手当・住宅手当などは賃金日額の計算に 含まれます。一方、年3回以下の賞与は 含まれません

上限額に達するケースの試算

ケース 計算
35歳・離職前月給60万円 賃金日額 = 60万円×6 ÷ 180 = 20,000円 → 30〜44歳上限の 16,110円 に置換 → 基本手当日額 8,055円
50歳・離職前月給80万円 賃金日額 = 80万円×6 ÷ 180 = 26,667円 → 45〜59歳上限の 17,740円 に置換 → 基本手当日額 8,870円
62歳・離職前月給55万円 賃金日額 = 55万円×6 ÷ 180 = 18,333円 → 60〜64歳上限の 16,940円 に置換 → 基本手当日額 7,623円

→ いずれも 上限額 が適用されているため、現役月収との差が大きくなる点に注意が必要です。

4. 月額・総支給額への影響

基本手当日額の上限額を月額・総支給額に換算した目安です。

4.1 月額換算(28日分認定)

年齢 基本手当日額上限 月額(28日分)
29歳以下 7,255円 約20.3万円
30〜44歳 8,055円 約22.6万円
45〜59歳 8,870円 約24.8万円
60〜64歳 7,623円 約21.3万円

認定日は4週間ごとなので、4週間(28日)が1単位です。月給とは比較しづらいので、4週分の感覚で見るのが実態に合います。

4.2 所定給付日数を掛けた総支給額(上限ケース)

所定給付日数は年齢・退職理由・被保険者期間で変わります。代表的なケースを試算します。

ケース 基本手当日額上限 所定給付日数 総支給額(上限時)
30代・自己都合・10〜20年加入 8,055円 120日 約96.7万円
40代・会社都合・10〜20年加入 8,055円 240日 約193.3万円
50代・会社都合・20年以上加入 8,870円 330日 約292.7万円
60代前半・会社都合・20年以上加入 7,623円 240日 約183.0万円

あくまで上限額が適用される高所得者を前提とした概算です。実際の支給額はハローワークの査定により異なります。


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5. 下限額(全年齢共通)の取り扱い

賃金日額が低い人には 下限額 が適用されます。

項目 2025年8月1日改定
基本手当日額の下限額(全年齢共通) 2,411円
算出の根拠 最低賃金日額(1,055円 × 20 ÷ 7)× 給付率80%

短時間勤務やパート・アルバイトで賃金日額が極端に低い場合でも、 下限額 が保障されます。下限額は地域別最低賃金の平均額に連動して毎年8月に見直されます。

6. 上限額の改定スケジュール

改定タイミング 内容
毎年8月1日 前年度の平均給与額の変動(毎月勤労統計)と最低賃金の改定を反映
反映方法 受給中の方は、8月1日以降の認定日に 新基本手当日額 が印字された受給資格者証が交付される
2025年8月1日改定 上限額は +190〜235円、下限額は +116円 の引き上げ

2025年8月1日以降に受給する方は、すでに新しい上限額が適用されています。

7. よくある質問

Q1. 退職時の役職手当・家族手当も賃金日額に含まれますか?

A. 毎月決まって支払われる賃金 は含まれます(基本給、役職手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業代など)。一方、 年3回以下の賞与・退職金 は含まれません。

Q2. 賃金日額の上限額を超える月収の場合、保険料の払い損になりませんか?

A. 雇用保険料は給与全額にかかりますが、給付には上限があるため、 高所得者は給付額の伸びが緩やか になります。これは雇用保険が低所得者により手厚い設計になっているためです。

Q3. 60歳を過ぎてから退職すると、給付率が下がるのですか?

A. 60〜64歳の給付率は 45〜80% の範囲で、他の年齢区分の上限50%より 5ポイント低く 設定されています。賃金日額の上限額も他区分より低めです(16,940円)。65歳以上の方には別途 高年齢求職者給付金(一時金)が支給されます。

Q4. 賞与が多い人と少ない人で、失業保険の額に差は出ますか?

A. 賞与は 計算に含まれない ため、年収の同じ2人でも、月給比率の高い人ほど賃金日額(および基本手当日額)が大きくなります。

Q5. 上限額に到達している場合、所定給付日数を増やす方法はありますか?

A. 退職理由(会社都合・特定理由離職者)被保険者期間 を満たすことで、所定給付日数自体が伸びます。年齢別の給付日数の早見は[失業保険の給付日数 早見表]を参照してください。

Q6. 上限額の改定は受給途中でも適用されますか?

A. はい。8月1日改定は、 8月1日以降の認定対象期間 に対する基本手当日額に適用されます。受給途中で改定があると、8月以降の支給分から新基本手当日額に切り替わります。

Q7. パート・短時間勤務で賃金日額が低い場合の下限額は?

A. 全年齢共通の 2,411円(2025年8月1日改定)が下限となります。算出された基本手当日額が下限額を下回る場合は、下限額が適用されます。

8. まとめ

失業保険の上限額について、要点をまとめます。

  • 上限額は 年齢区分ごと に設定されている(29歳以下/30〜44歳/45〜59歳/60〜64歳)
  • 2025年8月1日改定後の 基本手当日額上限 は、 7,255/8,055/8,870/7,623円
  • 賃金日額上限は 14,510/16,110/17,740/16,940円(上限到達月給目安は約43〜53万円)
  • 月額換算(28日分)の上限目安は 約20〜25万円
  • 下限額は全年齢共通で 基本手当日額2,411円
  • 上限額は毎年 8月1日 に見直し、平均給与額・最低賃金の改定を反映
  • 賞与・退職金は賃金日額の計算に含まれない

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