退職して、これから失業保険をもらおうとしているあなた。
「受給している間、家族の扶養に入れるのかな」と不安になっていませんか。
扶養と失業保険の関係はわかりにくく、迷うのは自然なことです。
この記事では、扶養に入れるかどうかの判定を先にお伝えしたうえで、基準となる金額や受給スケジュール別の考え方を、整理しました。
あなたの状況に当てはめて読み進めてみてください。
1. 結論:受給額しだいで「入れる時期」と「入れない時期」がある
先に結論からお伝えします。
失業保険(雇用保険の基本手当)を受給している間に扶養へ入れるかどうかは、基本手当の日額で判断されるのが一般的です。
- 基本手当の日額が3,612円以上の場合、受給期間中は社会保険上の扶養から外れるのが一般的です。
- 日額が3,611円以下であれば、受給中でも扶養にとどまれる場合があります。
- まだ受給が始まっていない待期期間や給付制限期間は、収入が発生していないため扶養に入れることが多いです。
つまり「受給中はずっと扶養に入れない」わけでも、「いつでも入れる」わけでもありません。
時期と金額によって変わるのがポイントです。
なお、最終的な認定は家族が加入する健康保険組合や協会けんぽが行います。
健保によって運用が異なる場合があるため、判断に迷うときは加入先へ確認することをおすすめします。
2. そもそも「扶養」と失業保険の関係
扶養とは、収入の少ない家族が、働いている家族(被保険者)に生計を支えてもらっている状態を指します。
社会保険上の扶養に入れると、自分で健康保険料を払わずに保険証を持てるメリットがあります。
ここで多くの人がつまずくのが、失業保険が「収入」として扱われるという点です。
失業保険は退職後の生活を支える給付ですが、社会保険の扶養を判定するときは収入とみなされます。
そのため、受給額が一定以上だと「自分で生計を立てられる収入がある」と判断され、扶養から外れる扱いになるのです。
「失業中で無収入だから扶養に入れるはず」と考えがちですが、実際には受給が始まると収入があるとみなされる、という仕組みを押さえておきましょう。
3. 判定の基準は基本手当の日額「3,612円」
社会保険上の扶養に入れるかどうかは、年収見込み130万円未満が一つの目安です。
失業保険の場合、この130万円を1日あたりに換算した金額が判定に使われます。
130万円 ÷ 360日 = およそ3,611円。
このため、基本手当の日額が3,612円以上だと年収換算で130万円以上とみなされ、受給中は扶養に入れないのが一般的です。
年齢や状況によって基準額が変わる場合があります。下の表で確認してください。
| 状況 | 扶養から外れる基本手当の日額の目安 | 年収換算の目安 |
|---|---|---|
| 一般(下記以外) | 3,612円以上 | 130万円以上 |
| 60歳以上・障害のある方 | 5,000円以上 | 180万円以上 |
| 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く) | 4,167円以上 | 150万円以上 |
※上記は社会保険上の扶養(健康保険・年金)の収入基準の目安です。基準額や運用は加入する健保によって異なる場合があります。
自分の基本手当の日額は、ハローワークで交付される雇用保険受給資格者証で確認できます。
日額がわからない段階で迷っているなら、まず受給見込みを整理するところから始めると判断しやすくなります。
4. 受給スケジュール別:扶養に入れる時期
失業保険には、退職してから実際に受給が始まるまでにいくつかの段階があります。
段階ごとに「収入があるかどうか」が変わるため、扶養に入れる時期も変わります。
| 時期 | 収入の有無 | 扶養に入れるか(日額3,612円以上の場合) |
|---|---|---|
| 待期期間(7日間) | 給付なし | 入れることが多い |
| 給付制限期間(自己都合などの場合) | 給付なし | 入れることが多い |
| 受給期間延長中 | 給付なし | 入れることが多い |
| 受給中 | 給付あり | 外れるのが一般的 |
| 受給終了後 | 給付なし | 年収見込みが基準未満なら再び入れる |
ポイントは、給付が出ていない期間は扶養に入れる場合が多いことです。
待期期間や給付制限期間中は収入が発生していないため、その間だけ扶養に入り、受給が始まったら外れる、という流れになることがあります。
ただし、受給開始のたびに扶養に入ったり外れたりする手続きが必要です。
短期間で出入りを繰り返すと手間がかかるため、加入先の健保がどのような運用をしているか事前に確認しておくと安心です。
受給が終わって年収見込みが130万円未満(60歳以上・障害のある方は180万円未満)になれば、再び扶養に入れる場合があります。
5. 「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」は別もの
ここで、混同しやすい2つの「扶養」を整理します。
扶養には社会保険上の扶養と税法上の扶養があり、失業保険の扱いがそれぞれ異なります。
| 種類 | 内容 | 失業保険の扱い |
|---|---|---|
| 社会保険上の扶養 | 健康保険・年金の被扶養者(130万円基準) | 収入に含まれる |
| 税法上の扶養 | 配偶者控除・扶養控除など | 収入に含まれない(非課税のため) |
失業保険の基本手当は非課税です。
そのため、配偶者控除などの税法上の扶養を判定するときの所得には含まれません。
一方、社会保険上の扶養を判定するときは収入として扱われます。
つまり「失業保険をもらうと配偶者控除が受けられなくなる」というわけではありません。
社会保険の扶養と税の扶養は別の基準で動くという点を分けて理解しておきましょう。
6. 受給中の健康保険はどうする?
日額3,612円以上で受給中の間は、社会保険上の扶養から一時的に外れることになります。
その間の健康保険は、おもに次の選択肢から選ぶことになります。
- 国民健康保険に加入する:お住まいの市区町村で手続きします。
- 退職した会社の健康保険を任意継続する:原則として退職後20日以内の手続きが必要です。
どちらの保険料が安くなるかは、前年の収入や扶養家族の人数によって変わります。
受給中だけ国保や任意継続に切り替え、受給が終わったら再び扶養に戻る、という流れになる方もいます。
保険料の比較や選び方は、次の記事でくわしく解説しています。
- 国民健康保険と任意継続を比較|保険料・扶養・期間で選び方
- 退職後の健康保険はどうする?任意継続・国保・扶養の選び方
切り替えには期限がある手続きもあるため、受給開始の見込みが立った段階で早めに準備しておくと落ち着いて進められます。
7. 扶養のまま黙って受給した場合の注意
「扶養に入ったまま、内緒で失業保険をもらえないか」と考える方もいるかもしれません。
ですが、これは認められていない方法です。事実だけお伝えします。
健保では、定期的に被扶養者の収入を確認する手続き(被扶養者資格の再確認)が行われます。
このとき失業保険の受給が判明すると、収入基準を超えていた日にさかのぼって扶養の資格を失う扱いになることがあります。
さかのぼって資格を失うと、その間に保険証で受けた医療費のうち、健保が負担した分の返還を求められる場合があります。
結果として、後から大きな負担が生じることになりかねません。
扶養を外れる手続きは手間に感じるかもしれませんが、ルールに沿って進めるのが、結果的にいちばん安心できる方法です。
迷ったときは自己判断で進めず、加入先の健保やハローワークに確認しましょう。
8. よくある質問
Q1. 失業保険をもらうと扶養から外れますか?
A. 外れるとは限りません。基本手当の日額が3,611円以下であれば、受給中でも扶養にとどまれる場合があります。日額が3,612円以上の場合は、受給期間中は外れるのが一般的です。最終的な判断は加入先の健保が行います。
Q2. 給付制限期間中は扶養に入れますか?
A. 給付制限期間中は給付が発生していないため、扶養に入れる場合が多いです。ただし受給が始まったら、基準額以上であれば扶養を外れる手続きが必要になります。
Q3. 失業保険は配偶者控除の判定にも影響しますか?
A. 失業保険の基本手当は非課税のため、税法上の扶養(配偶者控除など)の所得には含まれません。影響するのは社会保険上の扶養の判定です。2つの扶養は別の基準で考えます。
Q4. 受給が終わったら、また扶養に戻れますか?
A. 受給終了後、年収の見込みが130万円未満(60歳以上・障害のある方は180万円未満)であれば、再び扶養に入れる場合があります。手続きの方法は加入先の健保に確認してください。
Q5. 扶養に入ったまま受給していたことが後で分かるとどうなりますか?
A. 被扶養者の収入確認で判明することがあります。その場合、基準を超えていた時点にさかのぼって資格を失い、医療費の返還を求められる場合があります。自己判断せず、ルールに沿った手続きをおすすめします。
9. まとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
- 失業保険の受給中に扶養へ入れるかは、基本手当の日額3,612円が一つの目安です(年収換算130万円)。
- 待期期間・給付制限期間・受給期間延長中は給付がないため、扶養に入れることが多いです。
- 受給が始まると収入とみなされ、基準額以上なら扶養を外れる手続きが必要になります。
- 失業保険は非課税なので税法上の扶養の所得には含まれませんが、社会保険上の扶養では収入として扱われます。
- 扶養のまま黙って受給すると、さかのぼって資格を失い返還を求められる場合があるため、ルールに沿って進めましょう。
退職後の手続きは、扶養・健康保険・失業保険が絡み合って複雑に感じられます。
一つずつ整理すれば、あなたに合った進め方が見えてきます。




