退職した後の健康保険、どうすればいいの?市役所に行くべき?それとも会社の保険を続けるべき?

退職して会社の健康保険から外れると、空白期間なく 国民健康保険(国保) または 任意継続被保険者 のいずれかに切替える必要があります。手続きには期限があり、過ぎると医療費を全額自己負担するリスクも。

この記事では、退職後の国保切替について、期限・必要書類・任意継続との比較・軽減制度までをわかりやすく解説します。

1. 結論 ― 退職後14日以内に国保 or 任意継続を選ぶ

最初に結論をお伝えします。

退職後の選択肢は次の3つです。

選択肢 期限 加入先
国民健康保険 退職翌日から 14日以内 お住まいの市区町村
任意継続被保険者 退職翌日から 20日以内 退職時の健保組合・協会けんぽ
家族の扶養に入る 速やかに 家族の勤務先の健保

期限を過ぎても加入はできますが、未加入期間の医療費は全額自己負担 となるため、退職前から準備しておくのが安全です。

2. 国民健康保険の基本

加入対象

次のすべてに該当する方が国民健康保険の加入対象です。

  • 退職等により職場の健康保険を喪失した
  • 75歳未満(75歳以上は後期高齢者医療制度)
  • 生活保護を受けていない
  • 家族の扶養に入っていない

保険料の計算(4要素)

国民健康保険料は次の4要素を合算して算定されます(市区町村により構成は異なる)。

区分 計算方法
所得割 前年所得 × 料率
均等割 加入者1人あたり定額
平等割 1世帯あたり定額(自治体による)
資産割 固定資産税額 × 料率(自治体による)

国保の特徴

  • 前年所得をベースに保険料が決まる → 退職直後は保険料が高い
  • 配偶者・子の 扶養という概念なし(全員が被保険者)
  • 加入者全員分の均等割がかかる
  • 出産育児一時金・葬祭費などの給付あり

3. 任意継続被保険者の基本

加入条件

退職前に加入していた健康保険を 最大2年間 継続できる制度です。

  • 退職日まで 継続して2ヶ月以上の被保険者期間 があること
  • 退職翌日から 20日以内 に加入手続き

保険料の計算

計算方法 上限
退職時の標準報酬月額 × 保険料率(労使折半なし=全額自己負担) 健保組合の規約に基づく上限月額

退職前は会社が半額負担していたため、任意継続では 約2倍 の保険料になります。ただし上限額があるため、高所得者ほど任意継続が有利になりやすい傾向です。

任意継続の特徴

  • 配偶者・子を扶養 に入れられる(扶養家族の保険料負担なし)
  • 退職時の標準報酬月額に基づく 固定保険料(前年所得の影響なし)
  • 出産手当金・傷病手当金は 原則対象外(在職中に受給開始済みは継続可)
  • 2025年改正で 任意脱退が可能 に(国保への切替や扶養加入時等)


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4. 国保 vs 任意継続 ― どちらが安い?

比較ポイント

項目 国民健康保険 任意継続
保険料の根拠 前年所得 退職時の標準報酬月額
扶養家族の扱い 全員加入(保険料増) 扶養可(保険料1人分のみ)
加入期間 制限なし(次の保険加入まで) 最大2年
給付 出産育児一時金・葬祭費 同左 + 退職時継続中の傷病手当金
保険料軽減 退職理由により軽減あり 上限額あり

国保が有利になりやすいケース

  • 前年所得が 低い(退職前から低収入だった)
  • 特定受給資格者・特定理由離職者 に該当(軽減対象)
  • 家族の扶養に入れる予定
  • 加入期間が長期化する見込み

任意継続が有利になりやすいケース

  • 前年所得が 高い(特に上限額を超える高所得者)
  • 扶養家族が多い
  • 短期間で再就職予定
  • 任意継続でも傷病手当金等の継続給付対象

簡易シミュレーション

退職前の給与: 月40万円・賞与なし・前年所得 約400万円・40歳・扶養家族2人

制度 月額保険料目安 年額目安
国民健康保険 約45,000円 約540,000円
任意継続(協会けんぽ) 約47,000円 約564,000円

→ ほぼ同水準だが、扶養家族の扱いと軽減制度の適用可否で差が出ます。市区町村と健保組合の両方で 正確な見積り を取ることが必須です。

5. 国民健康保険切替の手続き

必要書類

書類 取得元
健康保険資格喪失証明書 退職した会社・健保組合
マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類) 本人
印鑑 本人
預金通帳(口座振替を希望する場合) 本人
雇用保険受給資格者証(軽減対象の場合) ハローワーク

手続きの場所

お住まいの 市区町村役場の国民健康保険窓口。郵送・オンライン申請に対応している自治体も増えています。

手続きの流れ

  1. 退職した会社・健保組合から 健康保険資格喪失証明書 を入手
  2. 退職翌日から 14日以内 に市区町村窓口へ
  3. 必要書類を提出 → 国民健康保険被保険者証の即日交付(自治体による)
  4. 保険料の納付方法を選択(口座振替推奨)


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6. 国民健康保険料の軽減措置

特定受給資格者・特定理由離職者の軽減

倒産・解雇・退職勧奨・パワハラ・長時間労働等で離職した65歳未満の方は、国民健康保険料が軽減されます。

対象

雇用保険受給資格者証の「離職理由」欄が次のコードに該当する方:

  • 特定受給資格者: 11, 12, 21, 22, 31, 32
  • 特定理由離職者: 23, 33, 34

軽減内容

項目 内容
算定方法 国民健康保険料の所得割部分について、前年給与所得を 30%相当 として算定
軽減期間 離職日翌日の属する月から 翌年度末まで

手続き

市区町村の国民健康保険窓口で 雇用保険受給資格者証 を提示して申請します。離職票だけでは適用されないため、ハローワークでの雇用保険手続き完了後に窓口へ。

その他の軽減

  • 7割・5割・2割軽減(前年所得が一定以下)
  • 産前産後期間の軽減(出産予定の場合)
  • 災害・失業等の急激な所得減少による申請減免

詳細は市区町村窓口で確認してください。

7. 切替時のよくあるトラブル

A. 健康保険資格喪失証明書が届かない

会社からの発行が遅れている場合、離職票給与明細(保険料控除欄) で代用できる自治体もあります。市区町村窓口で相談してください。

B. 14日を過ぎてしまった

加入はできますが、加入日は 退職翌日 に遡及します。未加入期間中の医療費は 全額自己負担 となり、後から保険適用分の払戻し(療養費)は手続きが煩雑です。

C. 保険料が予想より高い

前年所得ベースのため、退職直後は高くなりがちです。次の対応を検討:

  • 特定受給資格者軽減 の対象か確認
  • 任意継続との比較見積り
  • 自治体の 失業による申請減免 の可否を窓口で相談

D. 任意継続から国保へ切替えたい

2025年改正により 任意継続の任意脱退が可能 になりました。健保組合に脱退届を提出すれば、翌月から国保へ切替えできます。

8. よくある質問

Q1. 退職後すぐに再就職する場合も国保切替は必要ですか?

A. 退職日から再就職日までの 空白期間が1日以上 あれば、その期間は国保または任意継続が必要です。即日再就職(前職の退職日翌日に新職場入社)の場合は、空白期間なしのため国保加入は不要です。

Q2. 国保と任意継続のどちらが安いか自分で計算できますか?

A. 市区町村の国民健康保険窓口で 見積り を取れます(前年所得を提示)。任意継続は健保組合・協会けんぽの 保険料早見表 で確認可能。両方を比較して有利な方を選択してください。

Q3. 国保加入中に再就職した場合の手続きは?

A. 再就職先の健康保険に加入後、市区町村窓口に 国保脱退の届出 が必要です。健康保険被保険者証のコピーを持参してください。脱退届を出さないと国保料が二重で請求される可能性があります。

Q4. 軽減制度はいつまで申請できますか?

A. 離職日翌日から2年以内 が原則です。早めに市区町村窓口で雇用保険受給資格者証を提示して申請してください。

Q5. 家族の扶養に入る場合の条件は?

A. 家族の健康保険組合の扶養認定基準を満たす必要があります。一般的には 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)かつ 被扶養者の収入が扶養者の半分未満 が目安です。失業保険の基本手当も収入として算入されます。

Q6. 後期高齢者医療制度との関係は?

A. 75歳以上の方は自動的に後期高齢者医療制度に移行し、国保・任意継続の対象外となります。退職時に75歳以上の場合は市区町村窓口で確認してください。

9. まとめ

退職後の国保切替について、要点をまとめます。

  • 退職後 14日以内 に国民健康保険、または 20日以内 に任意継続を選択
  • 国保は 前年所得、任意継続は 退職時標準報酬月額 で保険料算定
  • 特定受給資格者・特定理由離職者は 国保料軽減対象(前年所得の30%相当で算定)
  • 任意継続は 扶養家族あり の方が有利になりやすい
  • 必要書類: 健康保険資格喪失証明書 + マイナンバーカード等
  • 2025年改正で任意継続の 任意脱退 が可能に

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