退職が決まったけれど、健康保険の手続きはどうすればいいの?会社の保険はいつまで使えるの?

退職して会社の健康保険を抜けると、 次の保険を自分で選んで切り替える 必要があります。選択肢は 任意継続・国民健康保険・家族の扶養 の3つ。どれを選ぶかで、月々の固定費が 数千〜数万円 変わります。

この記事では、3つの選択肢の違いと、 あなたに合う健康保険の選び方 を、判断フロー付きで整理します。手続きには期限があるので、退職前に方向性を決めておくことが大切です。

1. 結論 ― まず「家族の扶養に入れるか」を確認

最初に結論からお伝えします。退職後の健康保険は、次の順番で考えると迷いません。

確認の順番 内容 当てはまれば
① 家族の扶養 配偶者・家族が会社員等で、自分の年収見込みが130万円未満 扶養(保険料0円が基本)
② 軽減対象か 会社都合・倒産・雇い止め等の離職 国民健康保険(軽減で有利になりやすい)
③ 扶養家族の数 扶養する家族が複数いる 任意継続(人数が増えても保険料が変わらない)
④ 前年所得 上記に当てはまらない場合 前年所得で国保と任意継続を比較

ポイントは、 「保険料がいちばん安くなる選択肢」は人によって違う ということ。同じ年収でも、扶養家族の数や離職理由で答えが変わります。

→ 国保と任意継続の保険料を金額レベルで比較したい方は、関連記事の国民健康保険と任意継続の比較もあわせてご覧ください。

2. そもそも、退職後の健康保険はどうなる?

会社員は在職中、勤務先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に加入しています。給与から保険料が天引きされ、 半分は会社が負担 してくれています。

退職すると、この健康保険の資格は 退職日の翌日に失われます (資格喪失)。日本は「国民皆保険」が原則なので、 空白期間をつくらず、次の保険に加入する 必要があります。

選択肢は次の3つです。

選択肢 ひとことで言うと
任意継続 退職した会社の健康保険に、最大2年間そのまま加入し続ける
国民健康保険(国保) 市区町村が運営する保険に加入する
家族の扶養 会社員等の家族の健康保険に、被扶養者として入れてもらう

いずれも医療費の自己負担は原則3割で、高額療養費制度も使えます。 違いが大きいのは「保険料」と「手続き」と「扶養家族の扱い」 です。

3. 3つの選択肢を比較

任意継続被保険者

退職前に加入していた健康保険に、退職後も継続して加入する制度です。

項目 内容
保険者 退職時の健保組合・協会けんぽ
加入条件 退職日まで継続して2ヶ月以上の被保険者期間がある
手続き期限 退職日の翌日から 20日以内
保険料 退職時の標準報酬月額 × 保険料率( 全額自己負担
扶養家族 扶養に入れられる(追加保険料なし)
加入期間 最大 2年

会社負担がなくなるため、保険料は在職中のおおむね2倍が目安。ただし協会けんぽには 標準報酬月額の上限 があり、給与が高かった方ほど割安になりやすい仕組みです。

国民健康保険(国保)

市区町村が運営する保険です。職場の健康保険に入っていない方が対象になります。

項目 内容
保険者 市区町村
加入条件 75歳未満で職場健保を喪失した方
手続き期限 退職日の翌日から 14日以内
保険料 前年の所得 をもとに算定(所得割+均等割等)
扶養家族 扶養の概念なし(家族も 1人ずつ加入 ・保険料増)
加入期間 制限なし

退職した年は、 前年(在職中)の所得 で計算されるため高めになりがちです。一方、会社都合などの離職には保険料の軽減制度があります(後述)。

家族の扶養(被扶養者)

配偶者や家族が加入する健康保険に、被扶養者として入れてもらう方法です。

項目 内容
保険者 家族の勤務先の健保組合・協会けんぽ
加入条件 年収見込み130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)等
手続き期限 家族の勤務先を通じて速やかに(目安5日以内)
保険料 本人負担なし(家族の保険料も増えない)
注意点 失業保険の受給額によっては入れない場合がある

条件に当てはまれば、 保険料の負担がなく最も有利 です。まずはここに入れるかを確認するのが鉄則です。


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4. 選び方の判断フロー

ステップ① 家族の扶養に入れるか

家族(配偶者など)が会社員・公務員で、 自分の退職後の年収見込みが130万円未満 (60歳以上・障害者は180万円未満)なら、家族の扶養が第一候補です。保険料の負担がありません。

ただし注意点が1つ。 失業保険を受給している期間 は、基本手当日額が一定額以上だと扶養に入れません(次のステップ③で解説)。

→ 扶養に入れない場合はステップ②へ。

ステップ② 会社都合・倒産・雇い止めの離職か

会社都合の解雇、倒産、雇い止めなどで離職した場合(特定受給資格者・特定理由離職者)、国民健康保険に 保険料の軽減制度 があります。

  • 対象: 離職時点で65歳未満
  • 内容: 前年の 給与所得を30%(30/100)とみなして 保険料を算定
  • 期間: 離職日の翌日が属する月から、その年度の翌年度末まで
  • 手続き: 雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)を持って市区町村窓口へ

この軽減が効くと、国保がかなり安くなり有利になりやすいです。離職理由コードが対象か、雇用保険受給資格者証で確認しましょう。

→ 一般的な自己都合退職の場合はステップ③へ。

ステップ③ 扶養する家族がいるか

状況 向いている選択肢
扶養する家族が2人以上いる 任意継続 が有利になりやすい
扶養する家族が1人 ケースによる(要シミュレーション)
単身 ステップ④の前年所得で判断

任意継続は、扶養家族が何人増えても 本人分の保険料だけ で済みます。一方、国保は家族の人数分だけ保険料が増えます。家族が多いほど任意継続が有利になりやすい理由です。

ステップ④ 前年所得で比較

単身の方や、扶養家族が少ない方は、前年所得を目安に比較します。

前年所得の目安 向いている選択肢
低め(軽減対象なら確実) 国民健康保険
中くらい どちらとも言えない(要シミュレーション)
高め 任意継続(協会けんぽの上限が効く)

最終判断 ― 両方の見積もりを取って比較する

判断フローはあくまで目安です。国保の保険料は自治体ごとに違い、任意継続の保険料は健保組合ごとに上限が異なります。

最後は、 市区町村の窓口退職する会社の健保組合 の両方で見積もりを取り、 年額 で比べてください。これが失敗しないいちばん確実な方法です。


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5. 失業保険を受給する場合の注意点

退職後に失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取る予定の方は、 扶養との関係 に注意が必要です。

家族の扶養に入る場合、失業保険の 基本手当日額が3,612円以上 (60歳以上・障害者は5,000円以上)になると、受給期間中は扶養に入れないのが一般的です。年収換算で130万円以上とみなされるためです。

そのため、次のような選び方をする方もいます。

時期 健康保険の選択
退職直後〜失業保険の受給開始まで 家族の扶養に入る
失業保険の受給期間中 国保または任意継続に切り替える
受給終了後 再び家族の扶養に戻る

自己都合退職は給付制限期間があり、その間は受給がないため扶養に入れるケースもあります。ご自身の基本手当日額と受給スケジュールに合わせて検討しましょう。

なお、 国民健康保険や任意継続には、退職後の「傷病手当金」「出産手当金」は原則ありません (退職前から継続して受けている場合などの例外を除く)。在職中の給付とは扱いが変わる点も押さえておきましょう。

6. 手続きの期限早見表

健康保険の手続きは期限が短いものがあります。退職前に把握しておきましょう。

選択肢 手続き先 期限の目安 必要なものの例
任意継続 健保組合・協会けんぽ 退職翌日から20日以内 申出書、本人確認書類
国民健康保険 市区町村窓口 退職翌日から14日以内 健康保険資格喪失証明書、本人確認書類
家族の扶養 家族の勤務先 速やかに(目安5日以内) 退職日の確認書類、収入見込みの申告等

ポイントは 任意継続の20日以内 という期限。これを過ぎると原則として任意継続を選べなくなります。退職前に方向性を決めておくと安心です。

「健康保険資格喪失証明書」は退職する会社や健保組合が発行します。国保や扶養の手続きで求められることがあるため、退職時に依頼しておきましょう。

7. 切り替えに関する注意点

国保から任意継続へは原則戻れない

任意継続の加入期限は20日以内です。先に国保へ加入してしまうと、後から任意継続に変えるのは原則できません。 比較は退職前に 済ませておきましょう。

任意継続から国保へは切り替え可能(2022年改正)

以前は任意継続を途中でやめることができませんでしたが、 2022年(令和4年1月)の健康保険法改正 で、本人の申出による任意脱退ができるようになりました。

これにより「1年目は任意継続、2年目は前年所得が下がるので国保」といった切り替えがしやすくなっています。脱退の申出をすると、受理された月の翌月から資格を喪失します。

任意継続の2年経過後

状況 次の選択肢
再就職した 新しい勤務先の健康保険
失業中 国民健康保険
家族の扶養に入れる 家族の被扶養者

任意継続は最長2年です。終了後の切り替えも忘れずに。

8. よくある質問

Q1. 退職後、健康保険の手続きをしないとどうなりますか?

A. 無保険の状態になり、医療費が全額自己負担になります。国民健康保険は届出が遅れても、 資格喪失日にさかのぼって加入 することになり、その分の保険料もさかのぼって請求されます。早めに手続きしましょう。

Q2. 任意継続と国保、どちらが安いですか?

A. 一概には言えません。 扶養家族が多い方・前年所得が高かった方は任意継続前年所得が低い方・会社都合で軽減対象の方は国保 が有利になりやすい傾向です。金額の比較は国民健康保険と任意継続の比較をご覧ください。

Q3. すぐ再就職する予定でも手続きは必要ですか?

A. 退職から再就職まで日が空く場合は、その間の保険加入が必要です。空白期間が1日でもあると、その間は無保険になります。再就職先の入社日が決まっていても、間が空くなら国保や扶養への一時加入を検討しましょう。

Q4. 健康保険資格喪失証明書はどこでもらえますか?

A. 退職する会社、または会社が加入している健保組合・協会けんぽが発行します。国保や家族の扶養の手続きで提出を求められることがあるため、退職時に発行を依頼しておくとスムーズです。

Q5. 失業保険をもらうと家族の扶養から外れますか?

A. 基本手当日額が3,612円以上(60歳以上・障害者は5,000円以上)の場合、受給期間中は扶養から外れるのが一般的です。受給開始のタイミングで国保や任意継続に切り替える必要が出てきます。

Q6. どの選択肢がいいか自分で判断できません。

A. 国保(市区町村)と任意継続(健保組合)の両方で見積もりを取り、扶養に入れるかも家族の勤務先に確認したうえで、年額で比較するのが確実です。判断材料が多く迷う場合は、退職スマイルのLINEでもご状況に合わせた整理をお手伝いしています。

9. まとめ

退職後の健康保険の選び方について、要点をまとめます。

  • 選択肢は 任意継続・国民健康保険・家族の扶養 の3つ
  • まず 家族の扶養に入れるか を確認(入れれば保険料の負担なし)
  • 会社都合・倒産・雇い止めなら 国保の軽減制度 で有利になりやすい
  • 扶養家族が多い・前年所得が高いなら 任意継続 が有利になりやすい
  • 手続き期限は 任意継続20日・国保14日 以内、退職前に方向性を決める
  • 失業保険の受給中は基本手当日額3,612円以上だと扶養に入れない点に注意
  • 最終判断は 両方で見積もりを取り年額で比較

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