退職して収入が減ると、毎月の国民年金保険料が重く感じられますよね。
「払えないから放っておこう」と考えてしまう方も少なくありません。
でも、退職した人には保険料の負担を軽くする制度が用意されています。


退職後の手続きで迷ったら、まず気軽に相談してみる

1. 結論:払えないなら「未納」ではなく免除・猶予の手続きを

退職すると、会社員時代の厚生年金から国民年金へ切り替わります。
このとき収入が下がって保険料を払うのが難しくても、そのまま未納にするのは避けたい選択です。

国民年金には、保険料の免除・納付猶予という制度があります。
特に退職(失業)した人は、失業による特例免除を使えるため、前年の所得が高かった人でも免除が認められやすくなっています。

未納のまま放置するのと、手続きをして免除を受けるのとでは、将来の年金や万一のときの保障に差が出ます。
まずは「払えない=何もしない」ではなく、「払えない=手続きをする」と考えてみてください。

2. 退職後の国民年金の切替(第2号→第1号)

会社員や公務員は、在職中は厚生年金に加入する第2号被保険者でした。
退職するとこの資格を失い、原則として国民年金の第1号被保険者に切り替わります。

切替手続きの基本

項目 内容
手続き先 お住まいの市区町村役場(国民年金の窓口)
期限 退職日の翌日から 14日以内
主な持ち物 退職日が分かる書類(離職票・退職証明書など)、本人確認書類、基礎年金番号やマイナンバーが分かるもの
保険料(令和8年度) 月額 17,920円(2026年4月〜2027年3月)

国民年金保険料は所得に関係なく定額です。
収入が減ったからといって金額が自動で下がるわけではありません。
だからこそ、払うのが難しいときは免除・猶予の申請が大切になります。

なお、配偶者の扶養に入る場合(第3号被保険者)は手続きが異なります。
自分がどの区分になるかは、退職後の働き方によって変わる点に注意してください。


自分の場合はどの手続きが必要か、状況を整理して確認する

3. 免除・納付猶予の種類

経済的に保険料を納めるのが難しいときは、申請して承認されると保険料の一部または全額が免除されます。
免除には所得に応じた4つの区分があり、ほかに納付猶予や学生向けの制度もあります。

制度 内容 主な対象
全額免除 保険料の全額が免除 本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下
4分の3免除 保険料の4分の3が免除 同上(所得基準が段階で異なる)
半額免除 保険料の半額が免除 同上
4分の1免除 保険料の4分の1が免除 同上
納付猶予 保険料の納付を先送り 50歳未満で本人・配偶者の所得が一定以下
学生納付特例 在学中の納付を先送り 学生で本人の前年所得が一定以下

申請免除では、本人だけでなく世帯主・配偶者の所得も審査の対象になります。
そのため、家族に一定の収入があると免除に該当しないこともあります。

一部免除(4分の3・半額・4分の1)の場合は、免除されない残りの保険料を納めて初めて期間として認められます。
納め忘れると未納扱いになることがあるので、その点は気をつけてください。

4. 失業による特例免除

退職した人にとって特に心強いのが、失業による特例免除です。

通常の申請免除では本人の前年所得も審査されますが、会社員時代の所得が高いと基準を超えて免除に通りにくくなりがちです。
失業による特例免除では、失業した本人の前年所得を審査から除外して判定できます。

そのため、前年の所得が高かった人でも、退職後に収入が途絶えていれば免除が認められやすくなります。
配偶者や世帯主が失業した場合も対象になります。
ただし、世帯主や配偶者に一定の所得があると、特例を使っても免除にならないことがあります。

必要書類の例

特例を使うには、失業の事実が分かる書類の写しを添えます。

書類 補足
雇用保険受給資格者証のコピー 求職の申込み後に交付されるもの
雇用保険被保険者離職票のコピー 退職時に勤務先から受け取るもの
雇用保険受給資格通知 など 上記が手元にない場合の代替書類

上記が手元になくても、ハローワークで発行できる書類で代用できる場合があります。
具体的な書類は自治体やハローワークの窓口で確認すると確実です。

くわしくは、日本年金機構「失業等による特例免除」も参考にしてください。


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5. 免除と未納の違い

「免除も未納も保険料を払っていない点は同じでは?」と思うかもしれません。
しかし、両者は将来の年金で大きく扱いが変わります。

比較項目 免除・猶予(手続きあり) 未納(手続きなし)
受給資格期間(10年)への算入 算入される 算入されない
老齢年金額への反映 区分に応じて一部反映(猶予は反映なし) 反映されない
障害年金・遺族年金の保障 保険料納付要件の対象になりうる 要件を満たせず受け取れない場合がある
追納による回復 可能(後述) 対象外

ポイントは、免除や猶予は「手続きをしている」ため期間として認められることです。
年金を受け取るには、原則として受給資格期間が10年以上必要です。
未納のまま放置すると、この期間に入らず、将来の受給に影響することがあります。

さらに見落としがちなのが、障害年金・遺族年金への影響です。
これらは現役世代でも、けがや病気、万一のときに支えとなる保障です。
免除を受けていれば保険料納付要件の対象になりますが、未納だと要件を満たせないことがあります。

「今は払えないけれど将来の保障は残したい」という方こそ、手続きの価値が大きいといえます。

6. 追納で年金額を回復する

免除や猶予を受けた期間は、将来の年金額が満額納付より少なくなります。
ただし、あとから保険料を納める追納という方法で、年金額を回復できます。

項目 内容
追納できる期間 免除・猶予を受けた月から 10年以内
効果 納めた分が老齢基礎年金額に反映される
注意点 承認から一定期間が過ぎると、当時の保険料に加算額が上乗せされる場合がある

退職直後は免除を受けておき、再就職して収入が安定してから追納する、という使い方もできます。
追納の申込みは年金事務所で行えます。
詳しい条件や金額は、日本年金機構「国民年金保険料の免除・納付猶予制度」で確認してください。

7. よくある質問

Q1. 退職後すぐに免除の申請はできますか?

A. 退職して国民年金の第1号被保険者になったあとに申請できます。失業による特例免除を使う場合は、離職票や雇用保険受給資格者証など失業の事実が分かる書類の写しを添えます。まずは市区町村の国民年金窓口で相談してみてください。

Q2. 配偶者に収入がある場合でも免除は受けられますか?

A. 申請免除や失業による特例免除では、本人だけでなく世帯主・配偶者の所得も審査の対象です。配偶者に一定の所得があると、免除に該当しないこともあります。世帯の状況によって結果が変わるため、窓口で確認すると安心です。

Q3. 免除を受けると将来の年金は減りますか?

A. 免除区分に応じて、満額納付した場合より年金額が少なくなります。ただし、未納の場合は年金額に反映されないため、未納よりは有利です。後から追納すれば年金額を回復できます。

Q4. 納付猶予と免除はどう違いますか?

A. 免除は所得に応じて保険料の一部または全額が免除され、その分が一部年金額に反映されます。納付猶予は支払いを先送りする制度で、受給資格期間には算入されますが、追納しない限り年金額には反映されません。納付猶予は原則50歳未満が対象です。

Q5. 手続きをしないとどうなりますか?

A. 何もしないと未納扱いになります。未納期間は受給資格期間に入らず、障害年金・遺族年金の保障にも影響することがあります。払うのが難しいときこそ、免除・猶予の手続きをしておくことをおすすめします。

8. まとめ

  • 退職すると厚生年金(第2号)から国民年金(第1号)に切り替わり、市区町村で14日以内の手続きが必要です。
  • 令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円の定額で、収入が下がっても自動では減りません。
  • 払うのが難しいときは、未納にせず免除(全額〜4分の1)や納付猶予を申請しましょう。
  • 退職した人は失業による特例免除で、本人の前年所得を除いて判定できるため免除が通りやすくなります。
  • 免除期間は受給資格期間に算入され、10年以内なら追納で年金額を回復できます。

退職後の手続きは種類が多く、何から手をつければよいか迷いがちです。
一人で抱え込まず、自分の状況に合った進め方を確認していきましょう。


続けてあなたの状況を確認する