病気やケガで休業することになり、傷病手当金を申請したけれど不支給になった、または申請する前に「自分はもらえるのか」と不安に感じていませんか?
傷病手当金は健康保険から支給される心強い制度ですが、申請すれば必ずもらえるわけではありません。受給条件を満たしていないケースや、別の給付との調整で不支給または減額されるケースがあります。
この記事では、傷病手当金がもらえない代表的な8つのケースと、それぞれの対処法を整理します。申請前に確認することで、不支給を防ぎ確実に受給するための準備ができます。
目次
- 結論 ― 傷病手当金がもらえない8つのケース
- ケース① 業務上の傷病(労災対象)
- ケース② 待期期間(連続3日間)が完成していない
- ケース③ 給与の支払いがある
- ケース④ 国民健康保険に加入している
- ケース⑤ 医師から「労務不能」と認められない
- ケース⑥ 退職後の新規傷病
- ケース⑦ 他の給付と調整される(年金・労災・出産手当金)
- ケース⑧ 申請書の記載不備・添付書類不足
- よくある質問
- まとめ
1. 結論 ― 傷病手当金がもらえない8つのケース
最初に、傷病手当金がもらえない代表的なケースを整理します。
| # | 不支給ケース | 対処法 |
|---|---|---|
| ① | 業務上の傷病(労災対象) | 労災保険を申請 |
| ② | 待期期間(連続3日間)が完成していない | 3日間の連続休業を確保 |
| ③ | 給与の支払いがある | 差額調整または無給化 |
| ④ | 国民健康保険に加入している | 制度対象外(自営業者等) |
| ⑤ | 医師から「労務不能」と認められない | 診断書の精度向上 |
| ⑥ | 退職後の新規傷病 | 在職中の傷病で継続給付申請 |
| ⑦ | 他の給付と調整 | 個別調整・選択 |
| ⑧ | 申請書の記載不備 | 必要事項の正確な記入 |
それぞれを詳しく解説します。
2. ケース① 業務上の傷病(労災対象)
傷病手当金は 業務外 の病気・ケガが対象です。仕事中の事故や仕事が原因の病気は 労災保険 の対象となります。
労災との切り分け
| 状況 | 適用される制度 |
|---|---|
| 業務中の事故・ケガ | 労災保険(休業補償給付) |
| 通勤中の事故・ケガ | 労災保険(通勤災害) |
| 業務が原因の病気(過重労働等) | 労災保険 |
| プライベートでの事故・ケガ | 健康保険(傷病手当金) |
| 業務外で発症した私傷病 | 健康保険(傷病手当金) |
対処法
仕事が原因の可能性がある場合は、まず 労働基準監督署 に相談してください。労災認定されれば、労災保険の休業補償給付(給与の約60% + 特別支給金20% = 約80%)を受けられます。
労災と傷病手当金の重複受給はできません。労災保険給付が優先される仕組みです。
3. ケース② 待期期間(連続3日間)が完成していない
傷病手当金を受給するには、連続して3日間の休業(待期期間) が必要です。4日目以降の休業日が支給対象になります。
待期期間の例
| 例 | 待期完成? |
|---|---|
| 月・火・水 連続休業 | ✅ 完成(木曜日から支給対象) |
| 月・火・水・木・金 連続休業 | ✅ 完成 |
| 月休・火出勤・水休・木休・金休 | ❌ 未完成(連続3日が取れていない) |
| 月休・火休・水休・木出勤・金休 | ❌ 未完成(金曜日は支給対象外) |
注意点
- 土日・祝日も待期期間にカウントされる
- 有給休暇でもOK(休業の理由は問わない)
- 一度待期が完成すれば、その後の休業は1日単位で支給対象に
対処法
連続3日休む状況を確保することが必要です。長期休業を予定している場合は、最初に連続3日の休業を入れるよう調整しましょう。
4. ケース③ 給与の支払いがある
傷病手当金は 給与が支払われていない(または傷病手当金より少ない) ことが要件です。
給与額に応じた支給可否
| 給与額 | 傷病手当金 |
|---|---|
| 給与なし | 全額支給 |
| 給与 < 傷病手当金日額 | 差額が支給 |
| 給与 ≧ 傷病手当金日額 | 不支給 |
含まれる「給与」
- 通常の給与
- 有給休暇分の賃金
- 出勤・休業に関係なく支給される手当(通勤手当・扶養手当・住宅手当等)
対処法
会社が休業手当や見舞金を出している場合は、その額が傷病手当金日額より少なければ差額を申請できます。会社の人事・総務担当者に給与の支払い状況を確認した上で申請してください。
5. ケース④ 国民健康保険に加入している
傷病手当金は 健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の被保険者 が対象です。次の方は対象外となります。
| 対象外の方 | 加入する保険 |
|---|---|
| 自営業者・フリーランス | 国民健康保険 |
| 専業主婦・無職 | 国民健康保険 |
| 退職して任意継続中の新規傷病 | 任意継続被保険者(新傷病は対象外) |
| 75歳以上 | 後期高齢者医療制度 |
対処法
国民健康保険には傷病手当金制度がない(一部市町村で例外あり)ため、自営業者・フリーランスは民間の就業不能保険等で備える必要があります。会社員(健康保険被保険者)の場合は対象に含まれます。
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6. ケース⑤ 医師から「労務不能」と認められない
傷病手当金の申請には、医師による 「労務不能」の証明 が必要です。「労務不能」とは、被保険者がこれまで従事してきた業務ができない状態を指します。
不支給になりやすいパターン
- 医師が「軽作業なら可能」「短時間勤務なら可能」と判断
- 自己判断で長期間受診せず、その期間の証明が取れない
- 通院間隔が長く、労務不能の継続性が確認できない
- 主観的な訴えのみで客観的所見が乏しい
対処法
- 定期的な通院 で労務不能の継続性を証明
- 医師に 業務内容を具体的に伝える(事務職/立ち仕事/対人業務 等)
- 日常生活の制限状況を正確に記録・伝達
- 必要に応じて セカンドオピニオン を取る
7. ケース⑥ 退職後の新規傷病
退職後に発症した病気・ケガは、健康保険被保険者ではなくなっているため傷病手当金の対象外です。
退職後も傷病手当金を受け取る条件
退職前から 継続して 傷病手当金を受給していた、または受給可能な状態だった場合は、退職後も継続給付を受けられます(残期間内)。
必須条件
- 退職日(資格喪失日の前日)まで 継続して1年以上の被保険者期間 があること
- 退職日に 労務不能の状態 であること(出勤しない)
- 退職前に同じ傷病で傷病手当金を受給していた、または受給可能な状態
注意: 退職日に出勤するとアウト
「最後の挨拶を兼ねて出勤」してしまうと、退職日に労務可能と判断され、継続給付の条件を満たさなくなります。退職後の傷病手当金を期待している場合は、退職日も休業しましょう。
対処法
退職前に在職中の傷病として申請手続きを開始しておくのが安全です。退職前の状態を申請書に正確に記載することが重要です。
8. ケース⑦ 他の給付と調整される(年金・労災・出産手当金)
傷病手当金は、他の給付との重複・調整があります。
重複・調整の対象
| 他の給付 | 調整内容 |
|---|---|
| 障害厚生年金・障害手当金(同一傷病) | 年金額が傷病手当金より少ない場合のみ差額支給 |
| 老齢退職年金(資格喪失後) | 年金額が傷病手当金より少ない場合のみ差額支給 |
| 労災保険の休業補償給付 | 同一傷病なら傷病手当金は不支給。労災日額が低ければ差額支給 |
| 出産手当金(同一期間) | 出産手当金が優先。差額があれば傷病手当金で補填 |
対処法
該当する他の給付がある場合は、ハローワーク・年金事務所・健保組合・会社の総務担当者と連携し、最も有利な選択を確認することが重要です。
9. ケース⑧ 申請書の記載不備・添付書類不足
申請書の記載に不備があると、書類が返戻され支給決定が遅れる、または不支給になることがあります。
よくある不備
- 本人記入欄の傷病名・労務不能期間の記載漏れ
- 医師記入欄の意見書未取得・期間が本人記入と矛盾
- 事業主記入欄の給与支払い状況・出勤状況の記載漏れ
- 申請書類のページ抜け
- 押印漏れ
対処法
- 申請書チェックシート(協会けんぽが公開)を活用
- 本人・医師・事業主の記入欄が 整合している か確認
- 待期期間も含めた請求期間を正確に記入
- 不明点は加入先の健康保険組合・協会けんぽに事前確認
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10. よくある質問
Q1. 健康上の理由で退職しましたが、傷病手当金は受給できますか?
A. 退職前に傷病手当金を受給していた、または受給可能な状態(待期完成済・労務不能等)にあり、被保険者期間が1年以上あれば、継続給付として受給できます。
Q2. 申請書の医師記入欄は何度ももらう必要がありますか?
A. 原則として給与の締切日ごとに申請するのが推奨されており、その都度医師の証明が必要です。1ヶ月単位で申請すると医師の負担も少なく、支給決定もスムーズです。
Q3. 給付期間中にアルバイトはできますか?
A. アルバイトをしていることが発覚すると、労務不能ではないと判断され不支給または不正受給とみなされる可能性があります。傷病手当金受給中は労務に従事しないことが原則です。
Q4. 通院していなくても支給されますか?
A. 医師が労務不能を継続的に証明できる必要があるため、通院は重要です。自己判断で長期間通院しないと、その期間の労務不能が証明できず不支給になる可能性があります。
Q5. 任意継続被保険者になっても傷病手当金はもらえますか?
A. 任意継続被保険者は、新規発生した傷病では傷病手当金を受け取れません。在職中から継続して受給している傷病については、要件を満たせば継続給付を受けられます。
Q6. 申請書の事業主記入欄を会社が書いてくれない場合は?
A. 会社には申請書記入義務はありませんが、健保組合・協会けんぽから会社へ確認の連絡が入ります。それでも協力が得られない場合は、加入先の健康保険組合・協会けんぽに直接相談してください。
11. まとめ
傷病手当金がもらえないケースについて、要点をまとめます。
- 業務上の傷病は 労災保険 の対象
- 待期期間(連続3日) が必要
- 給与の支払いがあると差額調整または不支給
- 国民健康保険加入者は対象外(自営業者等)
- 医師の 「労務不能」証明 が必須
- 退職後の新規傷病は対象外(在職中傷病の継続給付なら可)
- 障害年金・労災・出産手当金等との 重複調整 あり
- 申請書の 記載不備・書類不足 は不支給の原因に
不支給ケースを事前に把握し、必要書類を正確に準備することが確実な受給につながります。
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ご留意事項
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制度の詳細はお住まいの地域のハローワーク・健康保険組合等にてご確認ください。
本記事の内容は公開日(2026-05-11)時点の情報です。最新情報は公式ページをご参照ください。




