病気やケガで長期休業することになり、傷病手当金がいくらもらえるか気になっていませんか?

傷病手当金は健康保険から支給される給付で、おおよその目安は 給与(標準報酬月額)の3分の2 が休業中に支給されます。最長で通算1年6ヶ月の支給を受けられます。

この記事では、傷病手当金の計算式を3ステップで解説し、月収別の概算シミュレーションをお伝えします。給与の支払いがある場合の調整や、勤続1年未満の特別な計算式もあわせて整理します。

目次

  1. 結論 ― 傷病手当金は標準報酬日額の2/3
  2. Step A. 標準報酬日額を算出する
  3. Step B. 1日あたりの傷病手当金を計算する
  4. Step C. 給付期間を把握する
  5. 月収別 概算シミュレーション
  6. 給与の支払いがある場合の調整
  7. 勤続1年未満の特別な計算式
  8. よくある質問
  9. まとめ

1. 結論 ― 傷病手当金は標準報酬日額の2/3

最初に、傷病手当金の計算式を整理します。

Step A. 標準報酬日額 = 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30
Step B. 1日あたりの傷病手当金 = 標準報酬日額 × 2/3
Step C. 給付期間 = 支給開始日から通算1年6ヶ月(最大18ヶ月)

おおよその目安: 給与の3分の2が休業中に支給される

ただし正確な金額は「標準報酬月額」をベースに計算されるため、給与額そのものではない点に注意が必要です。


2. Step A. 標準報酬日額を算出する

標準報酬月額とは

標準報酬月額は、健康保険料・厚生年金保険料の計算に使われる月給の区分。1等級〜50等級の表に基づいて区分されます。

実際の月給とほぼ同じ金額ですが、毎年9月の定時決定(4〜6月の平均給与)または昇給時の随時改定で見直されます。給与明細の控除項目「健康保険料」の欄から逆算するか、人事・総務担当者に確認できます。

計算式(基本)

標準報酬日額 = 支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額 ÷ 30

「支給開始日」は、傷病手当金が最初に支給された日のことです。

具体例(標準報酬月額がずっと30万円の場合)

  • 12ヶ月平均 = 30万円
  • 標準報酬日額 = 30万円 ÷ 30 = 10,000円

3. Step B. 1日あたりの傷病手当金を計算する

計算式

1日あたりの傷病手当金 = 標準報酬日額 × 2/3

具体例(標準報酬月額30万円・12ヶ月一定)

  • 標準報酬日額 = 10,000円
  • 1日あたり = 10,000 × 2/3 = 約6,667円

標準報酬月額が変動している場合

直近12ヶ月の各月の標準報酬月額を平均します。

例: 直近12ヶ月のうち、26万円×2ヶ月 + 30万円×10ヶ月 だった場合
– 平均 = (26万×2 + 30万×10) ÷ 12 = 約29.3万円
– 標準報酬日額 ≈ 9,778円
– 1日あたり ≈ 約6,520円

出典: 協会けんぽ 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

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4. Step C. 給付期間を把握する

傷病手当金の給付期間は、支給開始日から 通算1年6ヶ月(最大18ヶ月) です。

通算化(2022年1月以降)

2022年1月1日から、給付期間は「通算1年6ヶ月」に変更されました。途中で復職した場合、復職期間は除いて1年6ヶ月の枠内で支給されます。

例:
– 6ヶ月受給 → 復職3ヶ月 → 再休業 → 残り1年(12ヶ月)まで受給可能
– 連続して受給した場合は、支給開始日から1年6ヶ月後に給付終了

待期期間(最初の3日間)

連続して3日間休業した後の 4日目以降 が給付対象です。最初の3日間(待期期間)は給付されません。

土日・祝日や有給休暇も待期期間にカウントされます。

給付総額の概算

  • 標準報酬月額30万円 × 12ヶ月一定の場合
  • 1日あたり約6,667円 × 30日 = 月額約20万円
  • 1年6ヶ月(18ヶ月)= 約360万円

5. 月収別 概算シミュレーション

具体的なケースで給付額の目安を見ていきます。

ケース① 標準報酬月額20万円・150日休業

項目 数値
標準報酬日額 約6,667円
1日あたり 約4,444円
月額(30日換算) 約13万円
給付総額(150日) 約66.7万円

ケース② 標準報酬月額30万円・150日休業

項目 数値
標準報酬日額 約10,000円
1日あたり 約6,667円
月額(30日換算) 約20万円
給付総額(150日) 約100万円

ケース③ 標準報酬月額40万円・1年6ヶ月(最大期間)休業

項目 数値
標準報酬日額 約13,333円
1日あたり 約8,889円
月額(30日換算) 約26.7万円
給付総額(18ヶ月) 約480万円

ケース④ 標準報酬月額50万円・1年6ヶ月(最大期間)休業

項目 数値
標準報酬日額 約16,667円
1日あたり 約11,111円
月額(30日換算) 約33.3万円
給付総額(18ヶ月) 約600万円

※ 上記はすべて概算です。標準報酬月額の変動・社会保険料の継続支払い等で実際の手取りは異なります。


6. 給与の支払いがある場合の調整

休業期間中に会社から給与が支払われている場合、傷病手当金は調整されます。

給与額に応じた調整

給与額 傷病手当金
給与なし 全額支給
給与 < 傷病手当金日額 差額が支給
給与 ≧ 傷病手当金日額 不支給

例: 標準報酬月額30万円・休業中の給与4,000円/日

  • 傷病手当金日額 ≈ 6,667円
  • 差額 = 6,667 – 4,000 = 2,667円/日 が支給

含まれる「給与」

  • 通常の給与
  • 有給休暇分の賃金
  • 出勤・休業に関係なく支給される手当(通勤手当・扶養手当・住宅手当等)

含まれない「給与」

  • 残業手当(休業中は通常発生しない)
  • 一時金(見舞金等)

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7. 勤続1年未満の特別な計算式

支給開始日以前の健康保険加入期間が 12ヶ月未満 の場合、計算式が異なります。

計算式(12ヶ月未満)

次のうち 少ない金額 を「標準報酬月額の平均」として計算:

選択肢 内容
(1) 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均
(2) 当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均額(協会けんぽ: 2025年4月以降は 32万円

例: 入社6ヶ月で標準報酬月額40万円の場合

  • (1) 6ヶ月平均 = 40万円
  • (2) 全被保険者平均 = 32万円
  • 少ない方の 32万円 で計算
  • 標準報酬日額 = 32万 ÷ 30 ≈ 10,667円
  • 1日あたり ≈ 7,111円

→ 入社直後でも傷病手当金は受給可能(健康保険加入期間に「○ヶ月以上」の条件はない)。ただし高所得者は実給与より低い金額で計算される点に注意。


8. よくある質問

Q1. 月給とは別に賞与(ボーナス)も計算に含まれますか?

A. 標準報酬月額には賞与は含まれません。賞与は別途「標準賞与額」として社会保険料の計算には使われますが、傷病手当金の算定には影響しません。

Q2. 傷病手当金は手取り換算ですか、額面換算ですか?

A. 額面(社会保険料・税金控除前)の標準報酬月額をベースに計算されます。手取りではなく給与明細の標準報酬月額が基準です。

Q3. 退職後も傷病手当金は受け取れますか?

A. 退職日まで継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日に労務不能の状態であれば、継続給付として退職後も支給されます(残期間内)。退職日に出勤すると条件を満たさなくなるため注意が必要です。

Q4. 待期期間の3日間に有給休暇は使えますか?

A. 使えます。待期期間は連続3日休業すれば成立し、休業の理由は有給・無給を問いません。ただし有給休暇分の賃金は給与として扱われ、傷病手当金は不支給または差額調整になります。

Q5. 傷病手当金は税金がかかりますか?

A. 傷病手当金は 非課税 です。所得税・住民税の対象外です。確定申告も不要です。

Q6. 同じ病気で復職後に再休業した場合、傷病手当金は再支給されますか?

A. 支給開始日から通算1年6ヶ月の範囲内であれば再支給されます(2022年1月から通算化)。例えば6ヶ月受給後に復職、3ヶ月後に再休業した場合、残り1年(12ヶ月)の支給を受けられます。


9. まとめ

傷病手当金の計算方法について、要点をまとめます。

  • 計算は 3ステップ: 標準報酬日額 → 1日あたり → 給付期間
  • 1日あたり = 標準報酬日額(標準報酬月額平均÷30)× 2/3
  • 給付期間: 支給開始日から 通算1年6ヶ月(2022年1月から通算化)
  • おおよその目安: 給与の3分の2 が休業中に支給される
  • 給与の支払いがある場合は差額調整
  • 勤続1年未満は全被保険者平均額(協会けんぽ32万円)で計算する場合あり
  • 傷病手当金は 非課税(所得税・住民税の対象外)

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本記事の内容は公開日(2026-05-11)時点の情報です。最新情報は公式ページをご参照ください。

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