就職困難者という制度を聞いたけれど、自分が対象なのかわからない。

「就職困難者」は雇用保険法上の認定区分で、一般の受給資格者と比べて 失業保険の給付日数が大幅に手厚くなる 重要な制度です。最大 360日 の給付を受けられるケースもあり、退職後の生活基盤を守る上で見逃せない制度です。

この記事では、就職困難者制度の対象範囲、給付日数、認定要件、申請方法までをわかりやすく解説します。

1. 結論 ― 就職困難者は給付日数が最大360日

最初に結論をお伝えします。

雇用保険法上「就職が困難な事情がある」と認められた方は 就職困難者 として認定され、一般の受給資格者と比較して大幅に手厚い失業保険給付を受けられます。

項目 就職困難者 一般の受給資格者
給付日数 最大360日 90〜330日
必要な被保険者期間 離職前1年に 6ヶ月以上 離職前2年に12ヶ月以上
給付制限 なし 自己都合は原則1ヶ月
受給開始 待期7日後 待期7日後(自己都合は給付制限後)

就職困難者の認定は ハローワーク窓口での個別判定 が原則。該当する可能性がある方は、離職票提出時に必ず窓口で相談してください。

2. 就職困難者の対象範囲

雇用保険法施行規則で定められた就職困難者の対象は以下の方々です。

A. 障害者

種別 認定根拠
身体障害者 身体障害者手帳の交付を受けている方
知的障害者 児童相談所・知的障害者更生相談所等で知的障害があると判定された方
精神障害者 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方、または医師の診断書で精神障害があると確認できる方
発達障害者 発達障害者支援法による発達障害があると医師の診断で確認できる方
難治性疾患の方 特定の難病等で就労に困難がある方(医師の意見書)

B. 社会的事情により就職困難な方

状況 該当条件
保護観察中の方 保護観察所等の証明
刑余者 出所後一定期間内で再就職困難な事情がある方
配偶者からの暴力 DV被害者で配偶者と別居・離婚等の事情がある方
中国残留邦人等 中国残留邦人等の永住帰国者
北朝鮮帰国者 北朝鮮地域からの引揚者等

C. その他公共職業安定所長が認める方

上記に該当しなくても、就職活動が極めて困難な特別な事情があると ハローワーク所長が認める 場合は、就職困難者として認定される可能性があります。

注: 本記事は制度解説のみを目的としています。具体的な認定可否はハローワーク窓口で個別にご確認ください。

3. 就職困難者の給付日数

給付日数の早見表

年齢区分 被保険者期間 1年未満 被保険者期間 1年以上
45歳未満 150日 300日
45〜65歳未満 150日 360日

一般の受給資格者との比較

区分 被保険者期間 一般受給資格者 特定受給資格者 就職困難者
30歳未満・10年勤続 10年 120日 180日 300日
35歳・15年勤続 15年 120日 240日 300日
50歳・20年勤続 20年 150日 330日 360日

→ 就職困難者として認定されると、特定受給資格者(会社都合退職)よりも給付日数が長くなるケースが多くなります。


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4. 受給要件

共通要件

  • 退職等により失業状態にあること
  • 働く意思と能力があること
  • 求職活動を行っていること

被保険者期間の要件(緩和あり)

就職困難者は 離職前1年に6ヶ月以上の被保険者期間 で受給資格を得られます。一般の受給資格者の「離職前2年に12ヶ月以上」と比較して大幅に緩和されています。

区分 必要な被保険者期間
就職困難者 離職前1年に 6ヶ月以上
特定受給資格者 離職前1年に 6ヶ月以上
一般の受給資格者 離職前2年に 12ヶ月以上

給付制限の扱い

就職困難者は 給付制限なし で受給開始できます。自己都合退職の場合に原則1ヶ月の給付制限が課される一般の受給資格者と異なり、待期7日完了後すぐに支給対象期間が始まります。

5. 申請の流れ

ステップ① 必要書類の準備

書類 取得元
離職票1・2 退職した会社
障害者手帳・各種証明書 該当する場合
医師の診断書(手帳がない場合) 主治医
マイナンバーカード 本人
写真2枚 本人
通帳 本人
印鑑 本人

ステップ② ハローワーク窓口で求職申込

居住地の管轄ハローワーク窓口で求職申込書を記入し、離職票を提出します。この時点で「就職困難者」として認定希望の旨を伝える ことが重要です。

ステップ③ 認定審査

窓口で提出書類を確認し、就職困難者の認定可否を判定します。手帳所持者は通常即日判定。手帳なしの場合は医師の意見書をもとに判断されます。

ステップ④ 受給資格決定

認定後、雇用保険受給資格者証が交付されます。離職理由欄に 「就職困難者」のコード(53〜57等) が記載されます。

ステップ⑤ 説明会・失業認定

説明会への参加 → 待期7日 → 第1回失業認定日 → 認定後約5営業日で初回振込。

→ 申請から 約1ヶ月 で初回振込

6. 就職困難者と他制度との関係

A. 国民健康保険料の軽減

就職困難者で 離職理由コード が特定受給資格者・特定理由離職者の範囲 に該当する場合は、国民健康保険料の軽減対象になります。窓口でコードを確認してください。

B. 障害者就労支援サービスとの併用

就職困難者として認定されている方は、以下の就労支援も並行活用可能です。

  • ハローワークの 専門援助部門(障害者専門の職業相談)
  • 地域障害者職業センター(職業評価・職業準備支援)
  • 障害者就業・生活支援センター(生活・就労両面の支援)
  • 就労移行支援事業所(最長2年の就労準備)

C. 常用就職支度手当

再就職時に再就職手当の対象外となるケースでも、就職困難者は 常用就職支度手当 の対象になる可能性があります。

項目 対象
対象者 障害者・45歳以上の特定理由離職者・就職困難者等
支給率 30〜40%
支給残日数要件 所定給付日数の3分の1未満でも可


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7. 認定で気をつけるポイント

A. 「手帳がない=対象外」ではない

精神障害・発達障害等は手帳がなくても、医師の診断書で就労に困難があると確認できれば認定の可能性があります。窓口で 医師の意見書 を提示して相談してください。

B. 認定タイミング

就職困難者の認定は 離職票提出時 が原則。受給開始後に手帳取得した場合でも、変更申請で就職困難者扱いに変更できる可能性があります(変更後の残日数のみ就職困難者の給付日数で再計算)。

C. 認定の有効期間

就職困難者認定は 当該失業期間のみ有効。手帳の有効期限とも独立しているため、次回失業時は再度認定手続きが必要です。

D. ハローワークによる判断差

就職困難者の認定は窓口の個別判断による部分があります。納得いかない場合は、ハローワーク所長宛の異議申立 が可能です。

8. よくある質問

Q1. 障害者手帳を持っていません。就職困難者として認定されますか?

A. 手帳がなくても、医師の診断書で就労に困難があると確認できる場合は認定の可能性があります。発達障害・難病・精神疾患等は、手帳取得前でも医師の意見書をもとに窓口で相談してください。

Q2. 一般の受給資格者として失業保険を受給中に手帳を取得しました。どうなりますか?

A. ハローワーク窓口で 「就職困難者への変更申請」 が可能です。認定された場合、変更後の残日数が就職困難者の給付日数(最大360日)の範囲内で再計算されます。

Q3. 就職困難者の認定で年金や他の手当に影響はありますか?

A. 雇用保険上の認定のみで、障害年金・障害福祉サービスとは独立しています。並行して活用可能。

Q4. 自己都合退職でも就職困難者は給付制限なしですか?

A. はい、就職困難者として認定されれば 給付制限なし で待期7日明けから支給対象期間が始まります。

Q5. 就職困難者の手続きはハローワークでしかできませんか?

A. 雇用保険申請はハローワーク管轄です。就労支援サービスは地域の障害者職業センター・就業生活支援センターでも相談できます。

Q6. 失業中の医療費負担が心配です。

A. 退職後の国民健康保険には 特定受給資格者・特定理由離職者の軽減 があり、就職困難者で離職理由が該当する場合は対象です。市区町村窓口で雇用保険受給資格者証を提示して申請してください。

9. まとめ

就職困難者制度について、要点をまとめます。

  • 障害者・社会的事情で就職困難な方が対象
  • 給付日数は 最大360日(45歳以上・被保険者期間1年以上)
  • 被保険者期間の要件は 6ヶ月以上 に緩和
  • 給付制限なし で待期7日明けから受給開始
  • 手帳なしでも医師の意見書で認定の可能性
  • ハローワーク窓口での 個別判定 が原則
  • 常用就職支度手当・国保軽減等の他制度と併用可能

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