会社の倒産・解雇・退職勧奨で退職することになった、けれどこの先のお金が不安。

会社都合退職は、自己都合退職と比べて失業保険(雇用保険の基本手当)の受給条件が大きく緩和されます。給付制限なしですぐ受給開始できる上、給付日数も最大330日と手厚く設定されています。

この記事では、会社都合退職の失業保険について、給付日数・受給開始時期・必要な被保険者期間の3つの違いをわかりやすく解説します。退職勧奨や離職票異議申立で会社都合に変更する方法もあわせてお伝えします。

目次

  1. 結論 ― 会社都合退職は失業保険が手厚い
  2. 会社都合退職に該当するケース(特定受給資格者の範囲)
  3. 自己都合との3つの違い
  4. 給付日数 早見表
  5. 受給開始までのタイムライン
  6. 離職票が「自己都合」だった場合の異議申立
  7. 国民健康保険料の軽減措置
  8. よくある質問
  9. まとめ

1. 結論 ― 会社都合退職は失業保険が手厚い

最初に結論をお伝えします。

会社の倒産・解雇・退職勧奨等で退職した方は 特定受給資格者 に該当し、自己都合退職と比べて失業保険の受給条件が大きく緩和されます。

項目 会社都合(特定受給資格者) 自己都合(一般の離職者)
給付制限 なし(待期7日のみ) 原則1ヶ月(2025年4月改正後)
給付日数 最大330日 90〜150日
必要な被保険者期間 離職前1年に 6ヶ月以上 離職前2年に12ヶ月以上
初回振込まで 約1ヶ月 約1.5ヶ月

短期間の勤務(6ヶ月以上)でも失業保険を受給できるため、転職直後の解雇等でも対象になります。


2. 会社都合退職に該当するケース(特定受給資格者の範囲)

ハローワークが定める「特定受給資格者」の主な該当ケースは次の通りです。

倒産等によるもの

  1. 倒産(破産、民事再生、会社更生等)に伴う離職
  2. 事業所の廃止に伴う離職
  3. 事業所の移転で通勤困難になった離職

解雇等によるもの

  1. 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇=重責解雇を除く)
  2. 労働契約の締結時に明示された労働条件と実態が著しく相違した
  3. 賃金(退職手当除く)の3分の1超が支払期日までに支払われなかった
  4. 賃金が予告なく85%未満に大幅減額された
  5. 直近6ヶ月のうち、連続3ヶ月で月45時間超/単月100時間超/2ヶ月平均で月80時間超の時間外労働があった
  6. 法令違反の業務(危険業務等)に従事させられたため離職
  7. 上司・同僚等からのパワハラ・セクハラ・嫌がらせを受けたため離職
  8. 事業主から直接または間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(退職勧奨)
  9. 事業所が法令違反を行ったため離職

出典: ハローワーク 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

注意: パワハラ・長時間労働も「会社都合」の対象

「自分から退職を申し出た」場合でも、退職の引き金が会社側にある場合(パワハラ・長時間労働等)は会社都合扱いになる可能性があります。証拠(メール・タイムカード・診断書等)を揃えてハローワーク窓口で相談しましょう。

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3. 自己都合との3つの違い

違い① 給付制限なし

自己都合退職の場合、待期7日後にさらに 原則1ヶ月の給付制限 があります(2025年4月改正後。改正前は2ヶ月)。

会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、待期7日のみで給付対象期間が始まります。

退職理由 待期 給付制限
会社都合・特定受給資格者 7日 なし
自己都合(一般) 7日 原則1ヶ月(2025年4月以降)
自己都合(5年内3回目以降) 7日 3ヶ月
自己都合かつ重責解雇 7日 3ヶ月

違い② 給付日数が最大330日と手厚い

自己都合退職の給付日数は被保険者期間のみで決まり、最大150日。

会社都合退職は 年齢×被保険者期間 で決まり、45〜60歳・20年以上の方は 最大330日 まで支給されます。

違い③ 受給要件が緩和される

自己都合退職は 離職前2年に12ヶ月以上 の被保険者期間が必要。

会社都合退職は 離職前1年に6ヶ月以上 で受給資格を得られます。短期勤務後の解雇等でも対象になります。


4. 給付日数 早見表

会社都合(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)

年齢/被保険者期間 1年未満 1〜5年 5〜10年 10〜20年 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30〜35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35〜45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45〜60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60〜65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

自己都合(参考)

被保険者期間 給付日数
10年未満 90日
10〜20年未満 120日
20年以上 150日

出典: ハローワーク 基本手当の所定給付日数

計算例: 48歳・月収40万円・勤続15年・会社都合

  • 賃金日額 = 40万 × 6 ÷ 180 = 約13,333円
  • 基本手当日額 ≈ 6,666円(給付率約50%)
  • 給付日数 = 270日(45〜60歳・10〜20年)
  • 給付総額 ≈ 約180万円

同じ条件で自己都合退職だった場合は120日分=約80万円となり、会社都合の方が 約100万円多く 受給できる計算です。


5. 受給開始までのタイムライン

会社都合退職の場合

  1. ハローワークで求職申込・受給資格決定(離職票提出)
  2. 7日間の待期期間
  3. 説明会への参加
  4. 第1回失業認定日(待期完了後 約4週間目)
  5. 認定後 約5営業日で初回振込
  6. 以降4週間ごとに失業認定→振込

→ 申請から 約1ヶ月 で初回振込

申請時に持参するもの

  • 離職票1・2
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 写真2枚
  • 本人名義の通帳
  • 印鑑

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6. 離職票が「自己都合」だった場合の異議申立

退職勧奨を受けて退職したのに、会社が離職票に「自己都合退職」と記載してしまうケースがあります。この場合、ハローワークへ 異議申立 することで、会社都合(特定受給資格者)への変更が可能です。

異議申立の流れ

  1. 離職票2の最後の「離職理由」欄で「異議あり」にチェック
  2. 「具体的事情記載欄(離職者用)」に実情を記載(例: 退職勧奨による会社都合退職)
  3. 管轄ハローワーク窓口で「異議申立書」を提出
  4. ハローワークが事業主・離職者双方に事情聴取
  5. 客観資料(メール・録音・同僚証言等)をもとに最終判定

認定されやすい証拠

  • 退職勧奨を受けた際のメール・チャット履歴
  • 録音・録画
  • 同僚の証言・陳述書
  • 退職勧奨面談の議事録
  • タイムカード・勤怠記録
  • 医師の診断書(メンタル不調等の場合)

異議申立による効果

  • 自己都合 → 会社都合(特定受給資格者)に変更
  • 給付制限が解除される
  • 給付日数が90〜330日に拡大
  • 被保険者期間6ヶ月以上で受給資格

7. 国民健康保険料の軽減措置

会社都合退職した方は、退職翌年度の住民税および退職後の国民健康保険料の軽減措置を受けられます。

国民健康保険料の軽減

倒産・解雇・雇い止めなどで離職した65歳未満の方で、雇用保険受給資格者証の「離職理由」欄が次のコードに該当する場合、軽減対象です。

  • 11, 12(特定受給資格者)
  • 21, 22, 23(特定受給資格者)
  • 31, 32, 33(特定理由離職者)

軽減内容

  • 国民健康保険料の所得割部分について、前年給与所得を 30%相当 として算定
  • 軽減期間は離職日翌日の属する月から翌年度末まで

→ 退職後の固定費負担を大きく下げられる重要な制度です。市区町村の国民健康保険窓口で雇用保険受給資格者証を提示して申請しましょう。


8. よくある質問

Q1. 会社が「自己都合退職」と言ってきました。会社都合に変えられますか?

A. 退職勧奨・パワハラ・長時間労働等が背景にある場合、ハローワークの異議申立で会社都合に変更できる可能性があります。客観的な証拠(メール・タイムカード・診断書等)を揃えて窓口で相談してください。

Q2. 解雇予告手当は失業保険とは別ですか?

A. 別です。解雇予告手当は労働基準法に基づき会社が支払う手当(解雇日30日前までに予告がない場合)。失業保険は雇用保険から支給される公的給付。両方受給できます。

Q3. 退職勧奨に応じて退職届を出すと会社都合になりますか?

A. 退職届を提出していても、退職の経緯が退職勧奨であればハローワークが会社都合と判断する可能性があります。退職届に「会社からの退職勧奨に応じて」等を明記すると認定されやすくなります。

Q4. 倒産で離職票がもらえない場合は?

A. ハローワークで仮の手続きが可能です。賃金台帳のコピー等を持参して窓口で相談してください。

Q5. 会社都合の方が転職に不利ではないですか?

A. 「会社都合退職=能力不足」と誤解されることもありますが、倒産・整理解雇等は本人の責任ではないため、転職時は事実を冷静に伝えれば不利になることは少ないです。退職理由を前向きに整理して伝えることが大切です。

Q6. 給付期間中にアルバイトはできますか?

A. 1日4時間未満・週20時間未満であれば可能ですが、必ずハローワークに申告が必要です。申告漏れは不正受給とみなされます。


9. まとめ

会社都合退職の失業保険について、要点をまとめます。

  • 倒産・解雇・退職勧奨・ハラスメント等は 特定受給資格者 として手厚い給付対象
  • 給付制限なし(待期7日のみで受給開始 → 約1ヶ月で初回振込)
  • 給付日数は最大 330日(45〜60歳・20年以上)
  • 受給要件が緩和(離職前1年に 6ヶ月以上 で受給資格)
  • 自己都合と書かれた場合でも、異議申立で会社都合に変更可能(証拠が鍵)
  • 国民健康保険料の軽減措置あり

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制度の詳細はお住まいの地域のハローワーク・健康保険組合等にてご確認ください。
本記事の内容は公開日(2026-05-11)時点の情報です。最新情報は公式ページをご参照ください。

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